昨日、エイジングパラドックスについて書いていた時に、もうちょっと詳しくお知らせしたいなと思ったもの。
それが老年期の発達段階である「老年期超越」です。
心が環境に適応していく過程でもあるこの現象についてお伝えします。
成長とともにある「発達課題」
人は成長する際に、獲得しておかなければならない課題があるとされています。
年齢に応じて課題をクリアしていかないと、次の発達に影響するというものです。
エリクソンという人物が提唱した「発達段階論」がよく用いられます。
生後17か月まで 基本的信頼VS不信
18か月~3歳 自律性VS恥
3~5歳 自発性・積極性VS罪悪感
5~13歳 勤勉性VS劣等感
13~20歳 アイデンティティの確立VSアイデンティティの拡散
20~40歳 親密性VS孤立
40~65歳 次世代育成VS停滞
65歳~ 自己統合VS絶望
上記のようにいわれています。
心理学に触れたことがない方は「どういうこと?」と感じると思うので、簡潔に表現するとこんな感じ。
「人は生まれて最初に、養育者との間に基本的信頼を築きます。3歳までには自分でトイレに行くこと、我慢できないことは恥ずかしいことだと知るようになります。自発的積極的に自分を表現すること、勤勉であることで前に進めることを学び、それを獲得できなければ劣等感を覚えます。おおよそ20歳までに自分が何のために存在し、どんなことをしていきたいのかというアイデンティティを獲得し、40歳までに恋人や友人と親密な関係を築きます。その後は次世代の育成に心を傾け、65歳を超えるとそれまでの自分を肯定的に認められるようになります。」
一般的に言われているライフステージとも一致しますよね。
時期を逃すと、その後には獲得できないような課題も確かにあります。
逃した発達課題を後から獲得しなおすような心理療法のアプローチもあります。
65歳以上に訪れる「老年的超越」
平均寿命が延びているとはいえ、65歳まで健康に生きられる人ばかりではありません。
そもそも老年的超越を迎えられる人は限られています。
長生きということですね。
老年的超越では「物質主義的で合理的な世界観から、宇宙的、超越的、非合理的な世界観への変化」が訪れるとされています。
正直なところ、この段階を迎えてみたいですよね。長生きしたいなって思います。
明日は、老年的超越で感じる「宇宙的・自己意識・社会」3つの領域についてお伝えします。