自閉症スペクトラムって聞いたことありますか?
自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害などの発達障害の総称です。
いろいろな呼称がついていますが、明確に区別することは難しいので、自閉症スペクトラムという言葉が広範囲に使われています。
最近はASDということも多く、Autism Spectrum Disorderの略です。
女性より男性に多く、人口の1%程度が当てはまります。
ASDとコミュニケーション
自閉症スペクトラム(ASD)にはコミュニケーションの障害、言語発達の障害、限定的な興味の対象と動作の反復性という特性があります。
個人差はありますが、そうでない人と比較したときに特性があるということです。
特にコミュニケーションでいわれる特性はこのようなものです。
①相手の立場に立って考えることが苦手
ASD傾向を見るときに、よく「サリーとアン課題」というものが使われます。
サリーとアンというふたりの子どもがいて、サリーがおもちゃをしまった場所からアンがおもちゃを移動してしまいます。
アンがおもちゃを移動しているとき、サリーはその場にいないのですが、サリーはその後どこからおもちゃを取り出そうとするか・・・という問題です。
サリーはもちろん、サリー自身がおもちゃをしまった場所からおもちゃを取り出そうとするわけですが、ASD傾向にある人はアンがおもちゃを移動させた場所から、サリーもおもちゃを取り出せると答えてしまいます。
②相手の表情から気持ちを察することが苦手
視点を自分から相手に持っていくことが苦手なので、相手の表情から気持ちを察することも難しいといえます。
笑っている=うれしい
顔をしかめている=怒っているのだろう
この推察が苦手というか、表情を気にしていない人が多いようにも思います。
③あいまいな表現では伝わりにくい
「ちょっと」「適当」というような、あいまいな表現をわかりにくく感じてしまいます。
「ちょっと」ってどのくらい?「適当」ってどのくらい?
具体的にしたほうがわかりやすいようです。
「ちょっと待って」→「あと3分待って」
「適当に塩コショウして」→「ひとつまみ塩を入れておいて」
そんな風に具体的にすると伝わりやすいです。
なんでもASDというわけではないけれど・・・
ASD以外にも、心理学や精神の症状のことは「自分も当てはまるかも」というものが多いです。
とりわけ、最近はASD傾向のある方がたくさんいらっしゃるように思えます。
今話している相手がそうかもしれませんし、自分自身がそうかもしれません。
コミュニケーションがうまくいかないなと感じたら、ASDの特性をとらえるとうまくいくかもしれないということを頭の片隅にいれておいていただけたらいいなと思います。
ASDの特性を踏まえたら、コミュニケーションがうまくいきそう?
自分のコミュニケーションを振り返ってみて、ASD傾向がありそうだなと感じたら、これから書くことを意識してみてください。
①自分の思いと相手の思いは違う(かもしれない)
自分が楽しいと思っていても、相手は楽しくないかもしれません。または、自分があまり好きじゃないものでも、相手はそれが大好きかもしれません。
わからなければ相手に聞いてみましょう。
そのときはアサーションが大切。
「私は楽しいと感じているけど、あなたはどう?」と聞けるとコミュニケーションをとりやすくなるでしょう。
②自分の興味ある事ばかり話していないか
よほど同じ趣味の人でない限り、限定的な趣味をわかちあうことはむずかしいでしょう。
「あなたの好きなもの、趣味は何ですか?」と聞けるようになるといいですね。
③相手の話に興味をもって聞けているか
②に通じますが、自分の興味がない話題の時に、まったく聞いていないということはやめましょう。
もし相手が興味のない話を続けるようなら、普段の自分はそうなっていないか振り返ってみましょう。
自分のコミュニケーションの取り方を確認したいときは、カウンセリングも活用してくださいね。