夏至に書こうと思ってたのに、うっかり過ぎちゃいました。
みんな大好きサイコロジカルホラー映画「ミッドサマー」についてです。
あらすじ
心理学専攻の大学生のダニーは、双極性障害を患う妹による無理心中で家族を失います。
家族を亡くしたことが深い心の傷となりながら、恋人のクリスチャンに依存してなんとか暮らしています。
クリスチャンはダニーと別れようと思っていたものの、深く傷ついた彼女を拒絶できません。
ダニーとクリスチャンはクリスチャンの友人ペレから招待を受け、スウェーデンのホルガ村で夏至祭に参加します。
そこで彼らは狂気の祝祭に巻き込まれ・・・。
人里離れた環境の影響
この映画では、ホルガ村の狂気的な慣習がダニーやクリスチャンを恐怖のどん底に陥れる・・・かと思いきや、主人公のダニーは心が救われていきます。
クリスチャンも痛い目をみるまでは、ホルガ村に興味津々です。
異文化や宗教観による怖さは、スクリーン越しに見るとひたすら不気味なのですが、その中に入ってしまうとそれが普通かのように思えるのかもしれません。
ホルガ村はその他の文化圏からちょっと離れた場所にあるような描写があります。
他の集団と接することなく小さなコミュニティで、長時間過ごすことは「これまでの規範」から遠ざかり、判断力を鈍らせる効果があります。
ホルガ村ではマジックマッシュルームや大麻(?)のような幻覚作用のある食べ物を摂取する習慣があり、それがより主人公やホルガ村の人々を冷静な判断から遠ざけています。
寄り添い共感することで恐怖を打ち消す
ホルガ村で特徴的な「痛み」「快楽」「恐怖」への共感。
共感は心理的に寄り添うときに大切な行動で、カウンセリングのなかでも手法として用いられます。
ホルガ村では、痛みを感じる人とともに叫び、性的快感を得る人とともにあえぎ、恐怖を感じる人とともに苦しみます。
これは「情動的共感」というもので、自分と近しい相手に感情が引っ張られて起こるものです。
ホルガ村の場合は、おおげさに声に出して共感を示すことで、投影や同一視を起こしやすくしています。
ホルガ村はカルトか?
カルトとは「何かを熱狂的に崇拝、信仰すること」なので、確かにホルガ村はカルト集団です。
それでいうと、仏教でもキリスト教でも、厳格であればあるほどカルトという表現になりますよね。
人の命に対する考えが逸脱していると、それは途端にホラーめいたものになります。
ホラーって、身の危険に恐怖を駆り立てられるジャンルなんだなあと再確認できる作品です。
あなたならどうする?
ミッドサマーのような作品は「フォークホラー」とも呼ばれ、倫理観がまったく異なる文化圏に放り込まれたらどうしよう・・・という独特の怖さがあります。
村の一員となって、狂気に身を染めていくのか、それとも立ち向かうのか。
向こう側へ行ってしまうかもしれないという危うさが、より怖いですよね。
みなさんなら、ホルガ村でどう過ごしますか?