みなさん、ジブリの作品では何が好きですか?
風の谷のナウシカに始まり、風立ちぬまで・・・。
ファンタジーの中に視聴者を引き込むキャラクター設定が魅力的ですよね。
今日はとなりのトトロにおけるさつきとめいのアイデンティティについてお伝えしてみます。
名前が示唆する「女の子」を二分したキャラクター
となりのトトロに出てくる主人公姉妹。
それがさつきとめいです。
お姉ちゃんのさつきは、入院しているお母さんを待ちながら、家事をしたりめいの面倒をみたりとしっかり者の女の子。
確か小学5年生だったはず。
昭和を舞台とした作品とはいえ、お母さんのいない一家ではお母さんのような役割です。
弱音を吐けるのは、近所のおばあちゃんくらい。
健気に一家を支えています。
妹のめいはお母さんのいない環境で、寂しさや母恋しさをストレートに口に出す甘えん坊です。
4歳だったはず。
お母さんの一時帰宅が延びたと知ると「やだ!」とわがままを言い、何とか我慢しようとしているさつきを困らせます。
お母さんが帰ってこないのも「やだ!」さつきに「お母さんが死んじゃってもいいの?」と怒られると「やだ!」と泣き出してしまいます。
年齢差もあってか、対照的な性格のふたり。
ジブリではひとつのアイデンティティから沸き起こる感情を、ふたりの人物にわけるという方法がよく用いられています。
この方法が用いられていることを感じやすいのは「千と千尋の神隠し」の千と千尋です。
もはやひとり。同一人物を二分していることがわかります。
魔女の宅急便ではキキと絵描きの女の子。もしくはジジ。
幼さはめいに全振り
さつきとめいも同じように、ひとりの女の子のなかで起こる感情の変化を姉妹にわけて表現しています。
昨日のブログでもお伝えしたように、母親は子どもにとって大きな存在です。
さつきだって、泣いたり甘えたりしたいはず。
普段のさつきはそんなことはありません。
近所のおばあちゃんに不安を吐露するまでは、とてもしっかり者です。
めいは対照的に、さつきに甘えたりわがままを言ったりととても子どもらしいですよね。
めいはさつきの中にあるわがままで甘えん坊の自我だけを切り出したキャラクターなのです。
視聴者にわかりやすいように、ふたりの人物にわけちゃったのだと思います。
物語の序盤は、一緒にまっくろくろすけを見つけたりトトロと冒険をしたりと同じ体験をするふたり。
しかし、お母さんの一時退院が延びたことで葛藤が起こります。
ふたりはケンカし、分裂、しっかり者の人格であるさつきがめいを探します。
トトロや猫バスの力を借りて、再会し、かけがえのない存在であることを確認しあいます。
葛藤したアイデンティティが統合し、ふたりは少し成長するのです。
しっかり者のさつきが幼いめいを認めて受け入れることができたとも思えます。
人は葛藤を繰り返して成長していくので、さつきとめいに起きたような現象が、各個人の中でも起こっているのです。
人の発達についてはこの記事でちょっとご紹介しているのですが、また詳しく書きたいと思います。
自分の中で起こる葛藤については、ご相談もお待ちしています。