わたしは、アメコミはDC派です。
全体を漂うダークな雰囲気に惹かれます。
マーベルの世界観が広すぎてよくわからないというのもありますが・・・。
そんなDCコミックスで好きなキャラクター”トゥーフェイス”について、心理学を交えてご紹介します。
トゥーフェイスって誰?
トゥーフェイスはバットマンに出てくるディランのひとり。
顔の半分が焼けただれています。
善行をするか、悪行をするか、決断はなんでもコイントスで行います。コインがないと何も決められないのが弱点となるストーリーもあるほど。
いうまでもなく、コインの表と裏、そしてトゥーフェイスの見た目は人間の二面性を表しています。
トゥーフェイスの生育歴
夜空カウンセリングのアイデンティティ発見コースでは、成育歴というものを重視しています。
トゥーフェイスの成育歴を整理するとこんな感じ。
幼少期
交通事故で兄を亡くす。それを苦にした母親は自死。
父親から暴力を受けて育つ。
成人期
完全に善良で正義感あふれる検事となる。
とある法廷で、被告人から硫酸の入ったカプセルを投げつけられ、顔面が半分焼けただれた姿になってしまう。
それをきっかけに善行と悪行のどちらを行うか、コイントスで決めるトゥーフェイス(二重人格)が生まれる。
本当に、整理してしまうとこうなのですが、この中に彼がトゥーフェイスとなった要因が隠れています。
ハーヴェイ・デントは、トゥーフェイスとなるまで、虐待されていた記憶を抑圧しています。
当然そこに至るまでの兄と母の死、それによる大きな心の傷にも蓋をしています。(トラウマの放置)
父親の暴力によって、彼にはさまざまな疑問や怒りが生まれたものと予想されます。
大切な存在を失った後、多くの人は「生きている自分」への罪悪感を持ちます。
父親の暴力はその思いに拍車をかけるでしょう。
また、残された肉親による暴力を受け止めようと防衛機制が働き、「父も傷ついているから、仕方ないのだ。」と合理化することもあるかもしれません。
そのような経験から、完璧な善(裁判で裁けるような悪も)に固執し、あいまいな状態には蓋をしていると考えられます。
完璧な善である限り、自分自身は悪ではないことの証明になるためです。
虐待をした父は悪だったのか?兄や母のように死ななかった自分は悪なのか?
この問いから完璧に自分を遠ざけるためには、完璧な善である必要があります。
完璧な善であったハーヴェイ・デントは美しい顔が硫酸で焼けただれてしまったことをきっかけに、抑圧していた悪の人格を呼び覚ましてしまうことになるのです。
カウンセラーとしてわたしが言えることは、「傷ついた思い」を抑圧してしまうと、その反動でどこかに支障をきたしてしまうということ。
なるべく助けを求められる存在に頼ってほしいということです。
残念ながら、バットマンの舞台であるゴッサムシティにはそのような存在はいないのですが(いても大体被害にあってしまうのですが)、現実は違います。
夜空カウンセリングでなくても、構いませんが、なるべく気持ちは抑えずに表現できる相手が必要です。
うまい表出のしかたも学べるとよいかなと思います。