初めて、男はつらいよをみたとき・・・。
こんな人がいてたまるかと思ったのを覚えています。
寅さんはやばい。
現実にいたら、絶対お近づきになりたくない。
そんな分析にはかかせない存在の寅さんについて書いてみます。
フーテンってもう言ってはいけないらしい
フーテンという単語は、ふらふらしているとかそういう意味合いかな、と思っていたのですが。
「瘋癲」と書いて、定職を持たずに街中をふらつく人のことを指すようです。和風ヒッピーのイメージらしい。
意味としては精神疾患を持つ人という意味もあるようで、今は人に向かって言ってはいけない言葉のようです。
寅さんの親御さんは作中に出てきませんが、寅さんは戦後生まれ。
捨て子だったところを、妹のさくらの母親に拾われたらしいです。
戦争という大きな人災に巻き込まれ、寅さん自身もトラウマやPTSDがあるのかもしれません。
さくらを見るたびに、賠償千恵子の美しさに驚く。
寅さんの特徴
①失敗から逃げる
寅さんは愛される人物ですが、ふらふらしている自分自身を直視することはなく、口先だけは立派なことを言います。
困難な場面に出くわすと、逃げるか言い訳をして間違いを認めることができません。
この行動の繰り返しが、寅さんの精神的な成熟を妨げています。
②惚れっぽい・場当たり的
好意を抱いている女性のところへ足しげく通います。
また、よかれと思ったことが裏目に出てしまい、余計にいたたまれなく場面もあります。
その場その場の気持ちで、行動しているのです。
こじつければ、境界性人格障害にみられるような行動ですが、そこまでではないかな・・・。
③定住することができない
これこそフーテンなのですが、柴又だけではなく、一か所に定住することができません。
①で述べたように、困難にぶつかるとその土地から去って、嫌なことをなかったことにするのです。
これは解離性遁走と呼べるもので、現実では「あの失敗はなかったのだ。」と思い続けることで、本当にその出来事を忘れてしまったり、記憶の奥底に閉じ込めたりします。
寅さんは大人になることができない
寅さんは一応、一家の長男ですが、定住して職に就き、普通に暮らしていくことができません。
困難にぶつかるたびに、その場から逃げ、さらに失敗をなかったことにするからです。
大人になるために必要な葛藤から逃げ、耐えることもできません。
日本各地で失敗を繰り返しては、優しい妹のいる柴又へふらりと戻ってきます。
戦後には、こういった人はたくさんいたようで、戦前との価値観の変化やPTSD、戦時中を生きた親世代との軋轢から、生き方をうまく定められないという状態にあったようです。
寅さんが現実にいたらたまったものではないと冒頭で述べましたが、時代の変化とともにフーテン状態である程度生きていけるという人はいなくなっていったのかもしれません。
ちなみに遁走してしまう方は現代にもいて、多重債務状態に陥っていたり出会ったときには記憶喪失だったり、やはり詳細なプロフィールがわからないことが多いです。
ぶつかる困難の度合いも人それぞれ。
生きるか死ぬかの思いをしている方もいれば、受験の失敗などの挫折がきっかけの方もいます。
困難にぶつかったときは、一言ご相談くださいね。