夜空カウンセリングは映画が好きです。
中でもサイコホラー作品が好き。
今日は大好きなホラー映画「エスター」の分析をしていきたいと思います。
ネタバレも含みますが、2009年公開の映画なので大丈夫だろうと勝手に考えております。
見たことない人にはわかりにくい文章かもしれないので、苦手じゃなければ映画を見てみてくださいね。
エスターはこんな子
個人的に、エスターは自己実現へ向かう話だと思っています。
エスターの自己実現とは大人として男性と愛し合うこと。
わたしがエスターに感じるのは、サイコパス的な怖さではなく意志の強さです。
学校に行くときにゴスロリの服装で行くことを、母に止められたときのセリフが
「人と違ってもいいと言ったわ。」
エスターにはこだわりがあります。いつでも自分がかわいいと信じる服装でいます。
首のリボンにはホラー的な秘密があるので、これはこだわりではありません。
プライドが高く、こだわりが強い気質であることはエスターを語る時に外せません。
と、いうことで、クラスメイトに服装を馬鹿にされたときには、トイレにこもり癇癪を起して暴れます。
これは彼女の異常性や暴力性を表している描写なのですが、「怒り」を制御できないところが目につきます。
エスターの残虐性
エスターの残虐性は、兄が誤って鳩を傷つけてしまった際にあらわれます。
「苦しませたなら、責任をとらないと」と言って、彼女は鳩を石で叩き潰します。
エスターの意中の人である”父”が他のママ友に誘惑されているところを目撃すると、ママ友の子どもを遊具から突き落としてしまいます。
サイコパスというよりは命を軽んじているという様子です。
大人への態度
信頼を得るため・・・というのもありますが、エスターは母の都合のいい娘を演じます。
印象的なのは、本当はピアノが弾けるのに、弾けないふりをするシーン。
「どうして?」と尋ねる母に「あなたが教えたがっていたから。」とエスターは答えます。
プライドの高いエスターですが、自分よりも”格下”である相手を上に立たせ、愉悦に浸るという面もあります。
結末へ向けて
終盤、エスターは満を持して父にセクシーに迫ります。
それを拒絶されたとき、①プライドの高いエスターは②怒りを抑えられず③父親を殺害してしまいます。
殺害という選択は命を軽んじている描写にもつながりますね。
エスターの自己実現の欲求は満たされなかったわけです。
この挫折がエスターをさらにやけっぱちにさせるのですが、そちらは映画本編をご覧ください。
というわけで、エスターはサイコパスの物語ではないのです。
自己実現の欲求を満たすために、間違った努力をしてしまった結果、本来持っている素質から殺人事件に発展してしまう・・・という話なのです。
彼女が妹を手なずけたり、母の信頼を得たりする過程は、どちらかというと処世術みたいなものかな、と思います。
欲求を満たすことができれば、彼女はホラーでもなんでもない存在になれるかも。